【第9話】儲けられる会社を作るには社員を強くする!
- Tatsuya Sugimoto

- 2018年3月18日
- 読了時間: 8分
更新日:2月1日
1.組織を精鋭化する
会社経営は、どれほど素晴らしい戦略と戦術だとしても、それを成果に繋げるのは社員の協力が必 要です。社員が戦略や戦術を理解し、実行しなければ決して業績は伸びません。そこで、社長と同レベルの強い業績向上の意欲を持ち、かつ、強い実行力を持つ組織をつくり上げていくことが儲けを生み出すことに繋がります。
規律も統一も無く従来からの慣習だからといって指示されたことを行う「烏合の衆」の組織と、一方、与えられた課題に対して何をすれば解決できるか考え工夫を行う組織では、必然的に生産性や収益に大きな差が生まれてしまうのです。
京セラ、KDDIを創業し、JALを再生した稲盛和夫氏は、『会社は人数が多くなってくると経営者の目も届きにくくなり組織内に烏合的人間が出来てしまう。大きな組織であっても小さな組織に分けて採算を管理すれば、どの職場も責任感が強くなるため“少数精鋭”になる』と述べています。
では、精鋭化された組織とはどのような組織なのでしょうか。精鋭化された組織は次の5つの取り組みを行なっています。
(1)危機感を持っている
精鋭組織では、トップが抱く危機感を幹部・社員が共有し、危機を回避するために一人ひとりが何をすべきか理解した上で、その役割を果たし、業績を向上させています。
一方、業績が悪化している多くの企業は、危機感を持っているのはトップだけであり、社員はもちろん、幹部ですら危機感を持っていない状況となっています。
では、どうすれば幹部や社員に危機感を持たせることができるのでしょうか。危機感の持たせ方を、業績が「悪い場合」と「良い場合」での取り組み別に紹介します。
■業績が悪化している時
①経営実態を認識させる
②部門別実績を幹部に示し、事実を認識させる
③得意先別分析で「割の合わない」顧客がいることを認識させる
④商品別分析で売上・利益が減少している商品を認識させる
■業績が良い時
①今の商品でいつまで稼げるか考えさせる
②部門別実績を幹部に示し、事実を認識させる
③それでも危機感をもたないときは思い切って担当を変える
(2)価値観を共有する
価値観が一致していないと、組織力は落ち生産性は低下し、最悪は問題やトラブルを発生させます。組織において、価値観を共有することは非常に重要なことです。
トップがいくら方針を出しても、各部門で方針とは関係なく動き、部門間で方向性や考え方が異なるため、重要な問題が放置され、解決に多大な時間と労力を要するようになります。
また、方針の共有についても同じことが言え、方針を理解しないまま業務を行うと、トップが思い描くような結果には絶対に至りません。
共有すべき価値観を認知させる方法としては、様々なものが考えられます。日常レベルにおいては、朝礼、各種会議、社内交流行事、日常の仕事の場など口頭で知らせる方法、社内機関紙、掲示版、手帳などで知らせる方法などがあります。それ以外では、社是、クレドやフィロソフィの落し込みなどが有効です。
(3)社員間の相互信頼関係を築く
社員間の相互信頼関係を構築することによって、組織力は驚くほど高まります。いくら優秀な幹部や社員がいても、社内でコミュニケーションが図れていないと、能力を十分に発揮することができません。精鋭組織は、互いを認め、尊重しあい、定期的にコミュニケーションを図りながら、方針の確認や意思疎通を行なっています。
そのために社員の相互信頼構築の重要なポイントが3つあります。1つ目は「積極的・徹底的に話し合い、情報を共有化する」、2つ目は「それぞれの役割を明確にし、その役割に責任を持たせる」、3つ目は「共通の目標を設定し、共同意識を高める」ことです。
(4)新しいテーマにチャレンジする
過去に手に入れた知識や技術は陳腐化し、今は大丈夫でも、明日は通用しないかもしれません。また、気付いていないだけで、もはや役に立たないかもしれません。それでは精鋭化どころか、衰退する一方です。
精鋭化するには、個人と組織に対して常に新しいテーマにチャレンジし、P(計画)D(実行)C(検証)A(改善)サイクルを回すことで成果を手に入れなければなりません。
(5)継続的に改善活動を行う
企業にとって、業務を円滑に運営し、且つ継続的に改善活動を進めて行くためには、組織として一定の判断基準を設けることが必要です。この「基準」がないと、業務のスムーズな進行、発展に大きな足かせとなってしまいます。
精鋭組織では、現在、上手く回っていて問題がなさそうな業務でも、「もっと良く出来ないか」「もっとコストを下げられないか」といった視点を持ち、継続的に改善活動を行っています。
なぜなら、経営は環境適応業と言われるほど、流動的な状況や条件という不確定要素に対して的確な判断と対応が出来るかが収益に影響するからです。だからと言って、これらの判断を一々社長に決裁を仰ぐということになれば、これでは、業務が停滞、遅滞せざるをえません。このような事態を回避し、円滑に運営するには「判断基準」を明確化する以外に方法はありません。
■基準の明確化
①業績目標の明示
②行動基準の明示
③自己成長テーマの明示
④クレームが発生した場合の対応「基準」 ⇒担当者レベルの決定
⑤経営理念、経営方針 など
2.精鋭組織は必ず劣化する
実は、精鋭組織になったからと考え、その状態に慢心すると必ず組織の劣化が起こり、衰退の一途を辿っていくのです。そして、そのまま放置すれば、いつの間にか元の停滞した組織に戻ってしまいます。個人の能力や組織は、いくら高い能力を持っていても、それを磨かなければ劣化していきます。
劣化の原因としては「無関心社員の増加」「周囲無視の社員の増加」「責任転嫁社員の増加」が挙げられます。そこで、劣化に至るまでの社員の心理状態を上げると、次のように考え方になります。
■劣化に至るまでの心理状態
①今は目標達成できているのだから、明日もこのままで問題ない
②自分は目指すべきところまで到達したので、これで十分だろう
③自分が悪いのではなく、顧客(会社)や経営環境が悪い
④自分の仕事で行うことはやったので会社全体のことは関係ない
企業の業績とは、社員の意識と行動の有機的な結合の結果です。もし、社員の気持ちや心が病んでいたら業績は必ず低迷します。原因は全ての社員の意識や心の中にあります。
一旦、チャレンジ精神を失い、モチベーションも下がり、慢心に溢れてしまった社員の意識を変えるのは本人任せではできません。再構築のための解決策もまた、社員の意識改革にあるのです。
精鋭組織を再構築するためには、社長が先頭に立って幹部や社員を変えさせなければなりません。そこで、まず行うべきは幹部社員のテコ入れであり、その上で幹部社員を通じ社員の意識改革を進めます。
■幹部社員のテコ入れ方
①現状を認識させる(あるべき姿と比較して現状がどのレベルにあるか)
②不足項目について、期限と方法を考えさせる
③取り組み状況を社長自らが関わり、あるべき姿に到達するまで追及の手を
休めない
④それでも変わらなければ入れ替えも考える
一度、幹部に任命した社員を降格させる厳しい処遇になりますが、幹部として職責を全う出来ないのであれば、組織は停滞した状態なります。幹部社員が変われば、間違いなく精鋭組織への再構築の扉が開かれます。
3.組織風土を高める
社員が「自立」と「個性」を大事にする集団になれば、相互に認め合う創造的な雰囲気を持つ社風を形成します。社風改革へのアプローチは、まず経営トップが将来に対するビジョンを持ち、現場の第一線までそれを浸透させる努力を続けることです。組織を精鋭化するためには、組織風土を変える次の取り組みが必要となります。
(1)基準行動の浸透
精鋭組織を見ると、社員の基準行動が徹底されています。挨拶や報連相(報告・連絡・相談)は、社内における最低限のコミュニケーション手段です。いつの時代でも、挨拶や報連相の重要性は変わりません。
正しい挨拶は、コミュニケーションの第一歩として相手を認め、尊重するという気持ちの表れです。
また、身だしなみを整えることで、相手に与える印象もよくなり、社員の心の強化にもつながっていきます。
(2)社員教育制度の充実
社員一人ひとりが成長するために、成長段階ごとに基準があり、計画的に教育する仕組みが出来上がっています。さらに、知識習得や技術・技能習得に必要な資料やテキストが整っており、いつでも利用可能な状態になっています。
4.幹部社員のマネジメント力強化
幹部社員は、組織精鋭化において大きな鍵を握ります。経営方針、戦略、指示事項を理解し、社長の代弁者として部門に正しく伝え浸透させていくことが求められます。幹部社員の強化は、組織精鋭化にとって非常に重要です。
(1)業績目標を達成する
幹部は、部門運営者である以上、部門の業績目標の達成は必須条件です。業績目標達成のために、運営方針を決め、組織の資源を最大限に活用し、活動計画に対してしっかりとPDCAサイクルを回し、進捗管理を行います。
(2)顧客満足度を向上させる
顧客満足度を向上させるためには、幹部社員として顧客ニーズの把握が欠かせません。そのためにも、マーケットや競合がどのような動きをしているのか、社員から上がってくる報告からどのような傾向がみられるかを整理して、顧客ニーズにあったサービスの見直しや、商品提供を行います。
(3)部下を成長させる
幹部社員にとって、部下の育成は最も重要な役割です。上司は部下を通して仕事を遂行します。部下の成長が組織の成長につながっていきます。しかし、部下の育成方法において、注意が必要です。それは、部下を教育指導する幹部社員が、部下の育成の意識と方法は理解していないケースです。
例えば、幹部社員の姿勢が「仕事は見て覚えるものだ、先輩のやり方を盗め」「私に同じことを何度も言わせるな、何度も聴くな」「私がルールだ、言った通りに行えばよい」など、これでは思うように育つはずもありません。
《まとめ》
①儲けられる会社を作るには組織を少数精鋭化する。
②幹部社員の強化が、組織精鋭化に於いて大きな鍵を握る。
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有限会社リーダーズ愛媛
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