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【第8話】 “社員の成長が遅い”本当の原因とは?

  • 執筆者の写真: Tatsuya Sugimoto
    Tatsuya Sugimoto
  • 2018年2月28日
  • 読了時間: 7分

更新日:2月1日

社長の収益向上戦略「リーダーズ通信」より

【第8話】 “社員の成長が遅い”本当の原因とは?

●仕事を教えたが、その通りに出来るのが遅い、そのため成果が上がらない

 企業の成長を支える人材の採用と戦力化を考えた時、企業発展は「良い戦略と戦術」と言われるでしょう。しかし、いくら戦略が素晴らしくても、現場を動かす人の実力が伴わなければ、その実現は難しくなります。

 一般的に新人を採用すると、まず就業規則、人事評価等の会社ルールを理解し、部署や業務を担当する先輩から仕事の進め方、作業方法を学び、一人前に出来る様になってきて初めて組織の戦力に育ってきます。

 そして、一歩進んで、今の仕事を、より良く行えるように工夫する、自ら問題提起や改善案などを進言する等、経営の参画、貢献も高い人へと成長してきます。このような人は、収益の向上や組織が拡大するに従って、役割も変化し、部下を管理監督する立場へと、より会社運営の重要なポストへと職責も求められる事となります。

 しかし、新人を戦力化する過程で、成長スピードが「速い人」「遅い人」はどの企業にある事です。私は、その要因として大きく3つに分類できると考えています。まず、1つめは「本人の才能や素質によるもの」。2つめは「本人の性格・適性と与える仕事が合っているのか」。3つめは「育成する仕組みによるもの」です。なお、今回は3つめの「育成する仕組みによるもの」について述べさせて頂きます。

「新人社員の成長が遅いのですが・・・」これは、よく寄せられる相談の一つです。

 この事象は、まず、下記の二つを明確に分けて考える必要があります。「①決まった仕事が出来ないのか」、それとも、「②プラスアルファの仕事が出来ないのか」

 先の「①決まった仕事が出来ない」を言い換えると、次のように表現をすることができます。

「決まったことを教えたが、その通りにできない。そのため想定よりも成果を出せない」

 社員を雇うということは、まずは、「やることをその通りにやれば成果が出る」という状態(仕組み)ができていることが前提となります。業務のやり方が決まっていて、やって見せて、それをマニュアルなどで本人に説明する。そして、実際に行ってもらい、修正を加え、ある程度まで出来る様にする。このように初期の仕事を習熟する過程を、「訓練」と言います。

「②プラスアルファの仕事」とは、次のような状態を理想とします。

 ◎日々の業務に対し、課題を発見し、自ら改善する。

 ◎会議で、アイデアなどの発言を進んでする。

 ◎顧客の要望をくみ取り、提案する。

 ◎目標達成のために、上司や他部門と協力する。

この「プラスアルファの仕事」には、その人の持つ素養(姿勢、考え方、自頭の良さなど)が少なからず影響します。この素養を更に伸ばす過程を、「教育」と言います。

 ・決まったことを教える=「訓練」

 ・目的や状況から適切に対応できるようにする=「教育」

しかし、この理想とかけ離れた時に、その人は「不十分」となります。

 ▲言われたことだけをこなす。

 ▲改善やアイデアを言わない、言えない。

 ▲顧客に型通りの対応をし、クレームになる。

 ▲目標達成に対し、意欲も具体的な行動もない。

 新入社員が入ってきたら、育成計画も無く、とりあえず配属先の業務をやらせる。そして、雑多な業務を次々に渡す。そのため、本人は、業務全体を体系立てて受け止めることができません。

 また、数年経っても業務の中には「十分できるもの」、「知っている程度のもの」、「未経験のもの」があるという状態になります。訓練体系の整備されていない会社では、今後取り組みたい「多能工化」や「ローテーション」の下地も育たないと言えます。

 また、その時に使用するマニュアルも無かったり、古かったり。教育する社員が、そのマニュアルの存在を知らないこともあります。テキストが無い訳ですから、当然、教えることに漏れが生じます。書面で書かれたものがないので、本人の理解度も低くなります。

 そして、新入社員が入るたびに、そんなことを繰り返しているのです。そして、教える人は、時間の空いている人、比較的業務に余裕がある人が受け持つことになります。そこには、任命や適任者という考え方は、存在しません。まさに、丸投げです。その教える様子を観ていると、「不機嫌に」、「やる気がなさそう」な様子でやっています。

 その一方で、教わる方は、「申し訳なさそう」にしています。これでは、育つのが遅くなって当然なのです。こんな状態であれば、素養のある社員でも、戦力化され、成果を出すのに時間がかかるようになります。

●育成を「3つの限定」に制約する

 「社員の育成が遅い」という状況を観たとき、この「訓練」の段階に問題があるのか、「教育」の段階に問題があるのか、これを見極める必要があります。

 この「訓練」段階における「社員の育成が遅い」原因は、仕事を次々に「やらせ過ぎ」ということがあります。特に新人は仕事を覚える過程では、頭だけでなく体で覚えて処理できるようになることが必要です。その過程を中途半端に次々とやらせ過ぎていると、かえって成長が遅くなるばかりか、ミスやロスの発生等を誘発しがちになります。

 そこで、育成の過程で「訓練」段階を構築する時のポイントは、『3つの限定』という制約を設けます。育成を限定することにより、その社員は、「自分が今覚えなければならない事、覚える必要がある事」「最短で身に付けるべきこと」に集中ができるのです。

限定① 覚えてもらう仕事を「限定」する

 飲食店では、まずは、テーブルの片付けから覚えてもらう。製造業では、まずは、検査工程から覚えてもらうなど業務を一つひとつに分けます。そして、分けられた業務をある程度覚えたら次の業務へと移していきます。

限定② 教えるマニュアルを「限定」する

 マニュアルも初めに全部を見せることはありません。何故なら見せても当然理解もできず、この先に覚えることの多さに、自信を無くすことにもなりかねません。まずは、大まかに業務の全体像をイメージとしてとらえること、受け持ちの業務を「解り易く」理解してもらうことが必要です。そのための新人用のマニュアルを準備します。

限定③ 教える人を「限定」する

 教える人が代わると、どうしてもそのテンポや使用する言葉も変わります。また、ただでさえ覚えることが多いのに、教え方の基準が統一されていない状態で人が変わると、教わる側は迷ってしまうか中途半端なレベルで吸収が遅くなります。

 また、教える人も、それなりの社員を任命する必要があります。教える側には、教えるための技量が必要になります。トレーナー用のマニュアルや訓練制度の整備も必要になります。トレーナーを任命するとは、「社長の代わり」に教育を依頼する行為です。間違っても、トレーナーとしての資質(スキル、姿勢、人柄など)に欠ける社員を選んではいけません。せっかく採用した人材を「人財」、「人在」、「人罪」するかをトレーナーが左右します。

 このように、訓練の段階では、「3つの限定」が必要になるのです。この限定を行わない会社では、新人が育つのが遅くなる傾向が表れます。会社が新人社員に求める仕事の習熟期間や量と

 質のレベルに達していない状態であれば、「プラスアルファの仕事」を求めるのは難しくなります。基盤がないために、どちらも遅くなっているというのが実状です。

しかし、この「基盤」ができると、徐々に、「プラスアルファの仕事」が出来る様になります。これらのことは、すべて「基盤」があるからこそ出来るのです。当たり前のことが出来るという「基盤」の上にこそ、「創造力」や「ホスピタリティ」、「主体性」というプラスアルファ仕事が生まれるのです。

《まとめ》

①人を育てる仕組みも無い、仕組みが無いから、「社員の生産性が低い」のです。

②訓練する過程を「3つの限定」に制約することで、成長スピードを高めます。

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有限会社リーダーズ愛媛 

代表取締役 竹田 富男(たけだ とみお)

HP:https://www.leaders-ehime.com/

Eメール:t2@world.odn.ne.jp

住所:愛媛県松山市清水町4丁目75-1  

TEL:089-922-9423

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